足がつかない

新作短歌15首による連作です。
岡野大嗣 2022.04.13
誰でも

すこし寝たらすっきりとした頭だけつれて花屋へ出かけられたら

起きてすぐだから現在地のことが生まれたて以上にわからない

お葬式とかぶっちゃった いつもの感じ かなしいはかなしいと言っている

咲くだけならすぐに咲きますらしいから概要欄から買いにいくから

目のまえのひとのギターのエア運指 This program is brought to me

テープだけ貼っときますね 出てすぐの道ではがすまでは店のもの

最近は方角さっぱりわかんない 西とか東とかじゃないほうね

遠ざかるほどに大きくなる声のつまり呼び止められていたのか

お花見のかたはこちらの出口から上がってすぐを右でわかります

方角はわからなくても広域をつかむと生きた心地がします

ほらほらと写ってほしいひとが呼ぶ写りたくないひとのかけあし

本をその本を売ってくれた店も入る構図で写してくれた

答えはふせんのなぞなぞですが足りないとうれしくなるものはなんでしょう 

色分けに意味はないです しいていえば緑は好きだから多いかも

読みさしの文庫をいっときの栞に読みさしの文芸誌をとじていく

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