箱と窓

新作短歌10首による連作です
岡野大嗣 2026.02.22
誰でも

ふくらし粉 うすい詩集のハトロン紙 眠るひたいに陽をかける朝

伸びた気がするって髪が気づくときややゆうれいを信じています

パーカーをいちばん外にして歩く春のフェイクに飛びつきながら

日めくりの羽ばたくような歳月を映してバスの大いなる窓

手に持てる画面の中に見ていると今朝のすみれの揺れている今

声がするテニスコートへ近づけば声のふしぎを犬も見ている

さまざまに流れる町を夕方はパンのせなかを差し出すように

さっきまで五時台だった六時台さびしくしておくなら今のうち

叩いたら光っていたのに エレファント 撫でても光るようになっている

ぶかぶかの喪服を着せたふうな夜どこもあかるい暗がりばかり

無料で「たやすみなさい通信」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら