Shoegaze

短歌10首による連作です
岡野大嗣 2025.12.24
誰でも

ボーカルが埋もれ始めてここからは音が光になっていくから

サコッシュにくしゃっと入れたフライヤーひらけば未来の日付が読める

半分の半分はもう廃ビルのビルの部分だけが夜の景

ヴィクトリア朝の喪に服すジュエリーを足元を誰にも見られずに

筆記体みたいに撮れた光源を遠ざかり遠ざかりバスの中

合唱が君のこころを苦しめたことを代わりに謝りたいよ

閉じながら俯いて背を託すとき扉はたぐいまれなぬいぐるみ

愛に最も遠いところで轟音は無音にかぎりなく近づいて

君がサンタに願いましては靴紐で広くちいさな新体操を

もっと素直にもっと密かに歌えたらこころに傘は一本でいい

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