軽くなる朝

短歌11首による連作です。
岡野大嗣 2024.10.05
誰でも

通販が午前のテレビでやっていて明日は例年よりあたたかい

シャンプーが終わってそわそわしてる犬 慣れないだけの好きもあるよな

愛読者はがきの期限が切れていて愛のやり場になるG-mail

特別な日にだけつけるコンタクトレンズの箱が軽くなる朝

スモーキーな緑のランドセルが通る川の光をふっと集めて

いぬを描くつもりがくまになっちゃって泣いている子と泣きそうなくま

長袖にするか一生迷ったとどちらかは言わずにやってくる

今日はどのくらい古参が来るかとか次発を待ってしている話

パトカーがいるよ たのしくなりそうな夜のいちばん明るい場所に

ひさしぶりに食べるとおいしいねと話すあなたはひさしぶりが同じひと

聞き耳が立ってしまったおしゃべりに混ざって開演まであと少し

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