いつかの二匹
短歌8首による連作です。
岡野大嗣
2023.05.14
誰でも
失くしたら死んじゃうかもというピアス 薄い布団によくひっかかる
百個でも足りない 一個でも足りる そんな二匹でにぎるおむすび
生ハムを駄菓子みたいに引きはがす一日減った休みの朝に
簡単な言葉で伝えられることを餃子につつんでも伝えたい
図書館のカードを作る 二匹なら百冊借りられる森へ来て
妖精のようなおじいさんがふたり穴熊のままねむりにはいる
つやつやの表紙が月明かりを返す 強くなれたりしないかれらに
またね、って下から読んだら違うのに同じみたいに振り返す手だ
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