ねていたのかも
新作短歌13首による連作です。
岡野大嗣
2022.04.01
誰でも
空いていくたびにまぶしくなるバスにリュックを抱きしめて眠るひと
ゲルインク新色どれも気になって春めく試し書きのあいうえお
白っぽい空をバックに白い雲 おしゃれ上級者のそれらしく
赤いのが転がってくる 蹴った子が追いかけてきて追い越していく
目をとじてどっちに進んでいるのかをわからなくする 車窓がよくて
connected disconnected connected かつて栄えた地下街を抜け
中華屋のテレビにうつる球場のあかね空 みんなして見ている
ゆるかった坂がとつぜん坂になりたぶんふりかえるといい景色
パフェ越しにぜんぜん写ってくれていい またいつかゆっくり来ましょうね
あとがきにかえて、みたいに咲いている桜 そういう気持ちの夜に
くたびれているのに渡る歩道橋ほんとになんで渡ったんだろう
マンホールの下から水の音がする耳を近づけると澄んでいく
借りてきた漫画に貸した音楽が流れるシーン いったんとじる
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