残暑お見舞い申し上げます

うれしい近況を伝える短歌とミニエッセイです。
岡野大嗣 2024.08.21
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置きなおしてもらって取れたスヌーピーに名をつけなおす満月の夜

 クレーンゲームの中にあるぬいぐるみと目が合うと助けたくなる。耳の垂れ具合が昔のスヌーピーっぽいスヌーピー。一回目で、クレーンの届かない位置へ転がってしまった。こういうとき、いつもなら縁がなかったと見切りをつけるのだが、頼んでいないのに店員さんが良い位置に置きなおしてくれた。二回目で出口の穴に鼻先が乗る。三回目に頭部を抑え込むかたちで無事に救出。店員さんを探してお礼を言おうとしたが、ちいかわの位置をなおしているところだったので遠慮する。外へ出ると月が大きく、スヌーピーを「ルナ」と名付けたくなった。セーラームーンにルナという名前の猫がいた気がする。調べてみると、ルナと思っていた猫の名はアルテミスで、白い猫だった。その夜の月は白っぽかった。

初出:『うれしい近況』2024年夏の特典ポストカード

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